2009年5月4日月曜日

クリエイティブ合気道。

著者:箭内道彦
1964年福島県生まれ。博報堂を経て2003年「風とロック」設立。


「ひとりにひとつずつ、かけがえのない個性」。そんな哀しい教育の脅迫を我々は受けて育った。オリジナリティーへの幻想は、クリエイターにとってときとしてまったく無用の長物。無理矢理決めつけた根拠無き「個性」が自身を縛り、さらには相手を不幸にする。
自分探し?自分なんていらない。四六時中全方位最大限の可能性に自らを開放し、いかに常に真白な媒体であり続けられるか。それがクリエイティブ合気道。
敵は360度に潜む。クリエイティブは作品ではない。やりたいことは発注者の中にある。クリエイター自身にやりたいことは何も無い。否、あってはならぬ。
ただひとつあるとすれば、それは発注者のやりたいことを正確に汲み、彼等の想定を超える膨らませ方で鮮やかに返すこと。まさに「無」の境地。それがクリエイティブ合気道。

嗚呼目を閉じ、耳を澄まし、
あくまでも柔らかな構えの中
明鏡止水の境地にて臨みたい。
しかしそれは決して
無責任にイエスマンであれという話ではない。
自己否定を重ねフレキシブルに。
リアルタイム。
いまこのときに何が必要か。
いまこの場所に何が似合うか。
「こだわり」などという怠惰な目隠しを捨て、
力を抜いて「いま」に全身を委ねよ。

と、ここまで一気に書いたところでどこからともなく聞こえし声。
「それってただの行き当たりばったりじゃないか?」
そんな声すら否定しない。それがクリエイティブ合気道なり。

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